,html> handmadejapan.com [日本の手しごと]/Side Story #038:沖縄工芸旅行
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沖縄工芸旅行
今帰仁(なきじん)城跡  







“まふくわぶちくん“のやんばるへ!

当節話題の地方への補助金のおかげで、立派な高速道が島を背骨のように縦貫している。やんばるー島の北部ムへバスで、とバス停へ向かうところを一台のタクシーが声をかけて来た。自分もやんばる出身だから、と人のよさそうなおじさんは通常の半分くらいの代金で名護まで行ってくれることになった。

名護から20分ほど山へ向かったところに、漆作家・原田城二、みき子夫妻がいる。京都出身の原田さんは、秋田出身のみき子さんと東京の大学で学生運動を通じて出会い結婚。2年前まで秋田で漆器の制作をしていた。原田さんの漆器は独特の手法と意匠で作られており、おおらかでアジア的だ。雪深い地よりも、太陽さんさんの地が似合う。国頭郡に引っ越し、“山頭火の生活よ”とは聞かされていたが、驚いた。山の中の伝統的な造りの家屋は、強風から瓦を守るため真っ白になるまで漆喰で固められている。風雪に耐えた白木の柱や壁板は味わい深い。オリオンビールでからだの中を冷やしていると、昼間っからヤモリがキャッキャッキャと鳴き、黒あげはやオニヤンマがぶんぶん飛んでくる。月桃の大株に白い花が咲きこぼれている。ここも天国の近くにあるらしい。

湿度で固まる性質をもつ漆器の制作は、高温多湿の地ではまったく様子が違う、と原田さんは言うが、様子が違うのは漆ばかりではなさそうで、彼等の暮らしぶりもすっかり現地風。二人とも“毎日がキャンプ”のような生活がすっかり気に入っているようだ。原田さんの次の個展が楽しみだ。





最初はアメリカ人に人気があった琉球ガラス、今では沖縄を代表する工芸品の一つとなっている。色とりどりの宙吹きガラスを作っている源河源吉(げんかげんきち)さんの工房を訪ねた。原田夫妻が応援している作り手である。真っ青な空の色をそのまま写し取ってきたかのような、珊瑚礁の海の色を再現したような沖縄らしいガラス食器だ。漆にしてもガラスにしても、沖縄の作り手たちの出す色はとにかく強烈だ。

世界遺産に指定されている「今帰仁(なきじん)城跡」は、万里の長城の超ミニチュア版のような石垣が残り、高台に立てば東シナ海からの海風が汗ばんだ肌に快い。説明によると、その建築様式は中国から伝わったもので、14世紀中頃のものという。青磁の碗などが出土されている。ノロと呼ばれ、今も尊敬と信頼を寄せられている存在である神女の住居跡と記された一角があった。今でもノロやユタは人々に尊敬され、生活に溶け込んでいるという。 因に、こちらの言葉で、暑くて暑くて死にそう!というとき“まふくわぶちくん!”という。“まふくわ”が“とても暑いまっぴるま”で“ぶちくん”が“ひっくりかえる”という意味だと、椎名誠が書いている。一度おぼえてしまうと、自然に口から出てくる言葉だ。この日のやんばるはとっても“ぶちくん”だった。
(横山祐子)

ーつづくー


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