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能登半島地震現地レポート

世界のどこかで大事件が起きると、少し前の出来事はすっかり報道される回数が減り、ニュースを目にしなくなった私たちの気持ちの中でも印象が薄らいでゆきがちです。でも、被災地では、復興を目指して心も身体も奮い立たせている方々が大勢います。輪島からのレポートNo. 4です。太字の部分が塩安さんからのメールです。

写真1

能登輪島の町にも季節は巡り、桜が散り崩れた家々の庭にも季節の花々が咲きだしたようです。写真1は、しおやす漆器工房の正面。

“会社の国道に面した、ほんの小さなアスファルトに囲まれた土の部分に、自然に生えた木瓜の花です。生命力が強くすぐに大きな木になります。ほとんど根っこだけを残して切ったのが二年前、残酷な仕打ちにもめげず、今年はこんなに見事に花を咲かせました!凄いですね!”
写真2

とはいえ、写真2のようなところも、まだまだ数多くあるようです。

“国道249号線、輪島から曽々木に向かう途中です。崩れた崖はまだ手付かずのまま、車はそばを迂回して通ります。”
写真3
写真4

写真3、4は、海のそばの町輪島らしい光景。“もう5月。早稲の田植えの季節です。たんぼはいつもどおりに準備が整っているようです。ここは海から2キロくらいの場所ですが、掘り起こされた土から出て水に浮かんでいる虫を、カモメが食べにやってきます。たんぼにカモメ。ちょっと不思議ですが、いつもの風景です。”
写真5

写真5。“まだ崖崩れが収束していない場所では、このように24時間監視カメラが見張っています。”とありますが、能登半島から東に直線を引くと、能登から東京までのほぼ2倍の距離に北朝鮮。余震による崖崩れも心配ですが、海の向こうの隣人も不気味です。
写真6

写真6。きっと現地を歩いてみると、えっと驚くような光景があちらこちらに出現しているのでしょう。ここもその一つのようです。“富士屋旅館は取り壊されましたが、おそらく再建を考えているのでしょう。中庭が残してありました。今までは泊り客しか見ることのなかった中庭が通りから見えています。なんとなくうれしくなりました。”



レポートNo.4の後半は、塩安漆器工房で働く職人さんたちのご紹介です。地元の方々の笑顔が見たくて、全員集合をお願いしました。そして、職人さんたちのお家はどうなったのかも、知らせて下さいました。

“職人の中では、奥さんの実家が取り壊しになったのが一人居ますが他は大きな被害の者は居ませんでした。
ただ、独立後もうちのために専属で働いてもらっている蝋色(ろいろ)職人の森岡君の家は駄目になり、「工房長屋」の仕事場の家賃が払えないからと住居兼仕事場を探していたところ、昨日、いいところが見つかって引っ越しますと、工房長屋で使っていた蛍光灯をうちにくれました。”


「工房長屋」とは、木地作り、塗り、沈金、蒔絵などの行程別に職人さんが仕事する様子を見学できるようにと、輪島市の肝いりで作られた施設。箸作りなどの体験コースもあるそうです。

写真は、工房の職人さんたち。春木一子さんは、最も難しい上塗りの前にする拭き上げの名人、小坂 朗さんは10年ほど前に工房に加わった上塗り名人、中田正和さんは、輪島塗の職人さんの労働組合,漆工労組の委員長で、下地の名人。こうした優れた腕の持ち主により輪島塗の技術は保たれているのでしょう。塩安漆器工房では、職人さんの仕事を見学することができます。
    (2007/5よこやまゆうこ)

(C)Copyright 2004 Jomon-sha Inc, All rights reserved.

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