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『民芸とMingei』


『民芸とMingei』
編著:尾久彰三
写真:大屋孝雄
発行所:株式会社晶文社
価格:2000円+税

手づくりの仕事―民芸のお好きな向きには、見過ごすことのできない一冊が出版されました。『民芸とMingei』(尾久彰三著)です。帯には「時を生き存えた古作の味と、ざくざく使える現代ものの親しみと。」「著者はNHKの骨董紀行「温古希林」の指南役、尾久センセイが綴る新旧民芸の美とは?」とあります。
尾久彰三さんは長く日本民藝館学芸員として、柳宗悦が蒐集した民藝品を日々手にし眺め愛でてこられました。一度、沖縄買付け旅行にご一緒したことがありましたが、壷や碗や湯のみを焼く職人への思い遣り深いまなざしを感じたものです。民藝館では、海外美術館から展覧会要請も多く、日本のMingeiの美しさをそのスピリットとともに紹介してきました。尾久さんは、海外展の牽引力であった故内海禎子氏の信頼できる相棒として尽力していらっしゃいました。お殿様系(と私が呼んでいる)豪華絢爛な伝統工芸とは違う、庶民の日々の暮らしのために作られた、素朴であるがゆえに思いがけない美が醸し出されている道具Mingeiの理解者は、海外でも少なくないようです。そして彼は海外のMingeiの品々にも目がないようです。

著書のなかで、尾久さんは民芸美を「用・親しさ・健康・無事」の4つで表していらっしゃいます。無事は、“作為を用いず自然に任せること”といった意味合いでしょうか。深く納得できる四つです。紹介される品々は、尾久さんのコレクションのなかから選ばれたものばかり、古作を掘り出す密やかな愉しみや、自然に寄ってくる縁あるものたちとの出会いのこと、また時には、何気なくきらりと真理を控えめに言い当てていらっしゃる確かな眼差しが、独特の筆致で綴られています。テレビ番組でのご自身を“ゆるキャラ”と呼んでいらっしゃる目が、そこかしこにあります。第二章では、現代の作り手を取り上げて紹介。当節、こんな本が出版されることは、出版社にもこころのゆとりがあればこそ。嬉しいことです。
    (2015/1 よこやまゆうこ)

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