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<番外編> 風流菓 京の土
<番外編> 風流菓 京の土
『しみじみといふ味は 一つの菓子を手にとって 其のもののいろ、つや、そして面白く割った形への想像 口に入れた舌さわり お忙しい日々のホンの一ときの静けさを楽しみ味わふお相手です ほんとのお菓子の在り方はそういふものかも知れませぬ  京 亀末廣』
前号のside storyで菓子司の出版した本をご紹介した“お菓子つながり”で、昔から好きな京の菓子をひとつ。
亀末廣は、文化元年(1804年)創業、二条城や御所に菓子を納めていたという京のなかでも由緒正しい老舗和菓子店。
「京の土」は、ぶっきらぼうといったほうが当たっているような、テラコッタのような麩焼煎餅。色彩豊かに日本の四季を反映させるわけでもなく、シュールとさえ言えそうなところが、ひと味ひねった京都さんらしさかな、と云えなくもなさそう。栞の軽いウンチクに頷きつつ、折って口に運ぶと、ぱさぱさと口中に広がるのかと思いきや、すっと溶けてほのかに甘い。後を引く儚さがあります。故角 偉三郎作の欅漆皿のおおらかさと大地のかけらが呼応しているよう。以前、南フランスに住まう没落貴族の友人への手みやげにたずさえ、当時はやり始めていた南部鉄瓶のティーポットから注がれた紅茶とともに頂きました。それにつけても、南部鉄器のティーポットは今でも彼の地で健闘しているだろうか、、、。
(2016/3 よこやまゆうこ)

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