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<番外編>『川上村のロッククライミングを参観する』
    秋の訪れの早い長野県の高原、川上村がロッククライミングのメッカであることを知り、参観にゆきました。
    川上村といえば高原野菜のメッカとして有名です。生産量日本一という高原レタスをはじめ、長芋、そば、イチゴなどが栽培されています。戦後、進駐軍がサラダを食したいと、水田には向かないこの地でおしゃれな葉物野菜をつくらせたのが、ここが高原野菜の一大供給地となった始まりと聞いていました。
    道の両側には今を盛りと育つ畑が広がり、どこまで行っても畑、その向こうにはなだらかな緑一色の山々が続いています。こんなに遠くまで走るのだろうか、、、と不安になりかけた頃、ギザギザの稜線を持つ岩肌の山並が出現。ロッククライミングの山の出現に安堵。看板には『秩父多摩甲斐国立公園』と。長野県と思っていたのに、奥秩父へと足を踏み入れており、そこは山梨県と埼玉県の境目なのでした。
    『廻り目平キャンプ場』にはクライマー、ハイカー、キャンパーらが大きな荷物を担いで、それぞれの目的地を目指して歩いています。深い緑の合間に垂直に立つ岩肌が聳え立ち、目を凝らしてみれば、赤や青のヘルメットがまち針の頭のようにへばりついています。キャンプ場の北にも南にもさまざまな形の岩が聳え立っています。クライマーは、岩場のコースを詳しく紹介した『フリークライミング 日本100岩場』というその道のバイブルのような本を参考に、実力に見合った岩場に挑戦するのだそうです。
    この岩場のことを教えてくれた若い友人は、車にベッドや必要最低限の設備をセットし、どこでも野営のような一晩を過ごせるようにしていました。もちろん、キャンプ場内には、トイレ、シャワー、水場、貸テント場などの設備があります。
    彼らばまだクライミングを始めて2年ほどなので、ベテランというわけではないのだと言いながらも、垂直の岩場に挑戦し始めています。ロッククライミングはグループで集まり、リーダーのような人物がいて、ランチは皆でバーベキュー、という楽しげな雰囲気を思い込みのように想像していましたが、どうやらはるかにストイックな世界らしく、単独、あるいは2、3名の少人数でやってきて、実力に応じた岩場を選んでひたすら寡黙に岩に挑戦する、そういうスポーツらしいということがわかりました。
    ”何が楽しくて岩に登るの?”と尋ねてみれば、”ロープ一本に命を託すスリルかな”との返答。方や、砲弾が頭上を掠める否応ない恐怖。「非日常」のスリルは多様であると感じました。日本はまだまだ安全で住み良い国であることに感謝です。
(2023/11 よこやまゆうこ)

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