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<番外編>『令和6年1月1日発生能登半島地震レポート』
    その光景には一種、既視感がある。日本のどこかというよりも、ミサイル爆撃を受けたどこかの街のよう。キーウであったりガザであったり。
    マグニチュード7.6(最大震度7)の激震に見舞われた能登半島一帯。これまでに何度訪れただろうか。古い友人知人たちの住所を見ると河井町が多く安否が気遣われる。
    連絡のついた大崎漆器店の大崎悦子さんや、塩安漆器工房の塩安眞一さんから写真が届いた。テレビやインスタグラムで見る映像に比べても迫力がすごい。

    風至町にある『大崎漆器店』の建物は、輪島の漆文化を伝える「住前職後」と呼ばれる、前が居住部分、奥が作業部分となった細長い家屋として国登録有形文化財となっている。それが無惨にも崩れた。住居部分、工蔵、土蔵も崩れた。江戸時代末期の創業以来、現在の4代目まで、輪島塗りを代表する塗師屋として家業を守り、そろそろ本格的に後継者を育てようとされていた矢先のこれ。大崎夫妻は、なんとしても修復したいと願っておられる。
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    小伊勢町にある『塩安漆器工房』も火事は免れたものの大きな被害が出た。塩安真一さんは2007年3月に発生した能登半島地震では、地震発生時の様子から町が力強く立ち直ってゆくまでを5回シリーズでこのHPにレポートしてくれた。今回もど迫力の写真や動画が届いた。大きく崩れた自宅や工房や店舗の様子がわかる。天井から空の見える自宅、店舗のひび割れた壁、古い道具類を納めた部屋の様にカメラを向けることの無念さは如何ばかりだろう。社員たちも甚大な被害を受けているので誰も出社できず、ご夫婦と後継者の息子さんの3名で片付けを始めたとのこと。余震の揺れの中での作業は危険と分かってはいても、手を体を動かさないではいられない心境なのだろう。彼の腰痛の古傷が再発しないことを願うばかりだ。
    町の誰もが長期戦になることを思い、日本を代表する漆器産業の町として機能するまで復興できるのか、不安を覚えている。応援したい。今後も、折あるごとにレポートしてゆきたい。
(2024/1 よこやまゆうこ)

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