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『ちりめん細工作家高山順子さんのイギリス個展レポート』


江戸ちりめんを使ってミニチュア細工を作る京都の高山順子さんの海外初個展が、縄文社主宰クラフト・フォーラム・ジャパンの助成事業として行われました。
場所はロンドンから3時間ほど南西の英国海峡を臨むLyme Regis(ライム・リージス)という町。5年前の染織作家上原美智子さんの展覧会が開かれた時に比べ、町はすっかり賑やかさを増していました。(The Town Mill Gallery

ライム・リージスは、18世紀末、アンモナイトの第一発見者Mary Anningが生まれた町、いつも海へ向ってずり落ちてゆくのと闘っている町、ロンドンで成功した事業家が引退して住みたい町、そして、近年、世界遺産にも指定された町です。

 
 


The Town Mill Galleryは、17世紀の粉引き水車が復元された建物にあり、2階は、この水車の発見者でもあり修復の推進役でもあった地元の彫刻家デビッド・ウエスト氏にちなんでThe David West Galleryと名づけられています。前回同様、今回の展覧会をまとめてくれたのも、ディビッドさんでした。今回はこのスペースに明治、大正期の子供の着物コレクションを展示しました。小さなミニチュアの人形たちは、ケースに入れることもなく展示台に並べられましたが、一つとして無くなることがなかったのは、やっぱり紳士の国?!と感心。
また、ド−ルハウスはイギリスが本家本元であるように、ミニチュアの世界が好きなことにかけては、日本に一歩もひけを取らないお国柄。そのせいか、人口4000人ほどの町に、会期7日間の来場者は1100人。画廊始まって以来のこととか。会場では、持参した虫眼鏡で人形を見入るうちに、鼻をぶっつけてしまった男性や、7日間通いつめ、すっかり仲良くなってしまった地元のご婦人もいました。毎日ずっとボランティアのご婦人が時間交代で受付に座ってくださったことも、ボランティアが生活の一部になっている暮らしを感じさせられました。

 

ド−セット地方は昔から針仕事の伝統があります。17世紀からある輪っかに色糸をあしらったド−セット・ボタン、戦後に流行ったド−セット・フェザー刺繍、ホニトン・レースの細かさとデザインの美しさなどは、息を飲む素晴らしさです。こうした伝統があるからこそ、深い慈しみや健やかな成長を願って作られた子供の着物の高い完成度に目を見張り、現代につながる日本の針仕事に強い関心が示されたことを納得したのでした。
この展示会は、グレイトブリテン・ササカワ財団の助成により行われました。

 
    (2006/10 よこやまゆうこ)

(C)Copyright 2004 Jomon-sha Inc, All rights reserved.

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