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<番外編><シリーズ・私のたからもの>『仕覆作家小野里秀美さんの宝物は型紙と布とノート』
    わたしの宝物は、今まで縫った仕覆の型紙と布を貼ったノートと仕覆用に集めた布たちです。
    仕覆を習い始めたきっかけは、茶の湯の稽古でお道具を拝見する時に仕覆の拝見と古帛紗の拝見が一番好きだったからという単純なものでした。
    茶入れに添っているのは金襴、緞子、錦などの名物裂を使った仕覆が多いですが、私は間道や更紗が好きで、自分で求めた茶入れには自分の好きな仕覆を付けたい、と思うようになりました。
    たまたま通りがかりの古美術店のウインドウに「仕覆教室生徒募集」という貼り紙を見つけて通い始めました。50個縫ったら1人前、と言われましたが、なかなか針を持つ時間がない時期もあったりで、50個達成するのに5年もかかりました。
    それでも布好きなので、ちょこちょこと仕覆に使えそうな布を集めたり、更紗好きが高じて更紗のコレクションで有名なインドのキャリコ博物館に行ったりもしました。

    仕覆を習い始めて5年を過ぎた頃から、知人から縫ってもらえないかという依頼を受けるようになりました。2年前からは、仕覆教室では生徒ではなく助手としてお手伝いするようにもなりました。
    依頼されて縫ったものは手元には残らないので、ノートに貼った型紙と布が記録となります。そのノートと仕覆用に集めた布たちの引き出しを時折見てニヤニヤするのはまさに至福のときです。
    作家からの依頼で制作することもあります。2021年春、銀座和光で開かれた日本工芸会の染織作家、小倉織の築城則子氏の個展では、江戸切子の作家小川郁子氏のコラボが企画され、築城氏の布を使って切子のぐい呑みの仕覆を制作しました。トップの写真は、19世紀のインド更紗を使って茶籠の仕覆に仕立てたものです。

小野里秀美:鎌倉
(2023/9 よこやまゆうこ)

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