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「山荘の和室に和紙をはる」続編
山荘の和室に和紙のロールカーテンをかける


8月も20日を過ぎると八ヶ岳海の口あたりは、朝夕はずいぶん涼しい。今年は7月の猛暑のせいで野菜の育成が早く、もろこしも枝豆も堅くなりはじめています。後は山を下りる前のじゃがいも掘りを残すばかりとなりました。

さて、昨年8月にsidestory 009(LINK)でお知らせした、山荘の板張りの壁に和紙を貼った顛末をお読みくださった方に、その続編をお届けします。これは昨年の夏休みに、東京から経師屋さん4名に来ていただき、四畳半ほどの部屋の四方の壁、扉、天井をすべて和紙の袋張りをしたときの様子をお知らせしたものです。その後、宿題として残っていたのが、窓にかけるカーテン。順当なのは障子をいれることですが、ひと工夫してみたい、と。そして一年をかけて試作してきたものが、晴れて窓辺にかかりました。四方の白い和紙とも違和感なく溶け合い、ユニークな窓辺の処理ができたように思います。この部屋に泊まった女性編集者は、とても気持ち良い眠りができました、と言ってくれました。繭のなかのお蚕さんのような眠りであれば嬉しい。



和紙のロールカーテンができるまで

渋紙カーテンを作りたい!との願いを叶えてくれたのは、盛岡市の表具師春虹堂の村里 暁(むらさと あきら)さん。作り方は、まず和紙に掛け軸用の絹布を貼ります。次にそれを適当な太さの竹に巻き、そのまま下のほうへ押し下げ、和紙にしわをつけます。しわになった紙をそのまま柿渋液に漬け込むような感じで、一回目の柿渋染めを行います。乾いたら今度は紙を広げ、刷毛で全体にもう一度柿渋を塗ります。この紙をつなぎ合わせ、望みのサイズにします。
巻き上げるのには、木製固定部分に紐をかけひっぱると上の棒が廻り、くるくると紙が巻き上がるようになっています。この部分の仕組みが村里さんがもっとも苦労した部分。この部品は、村里さんの友人で盛岡市郊外に工房をもつ木工家木戸良平さん苦心の手作り。巻き上げるとき紙の両端を傷めそうですが、こつをおぼえると意外とまっすぐに巻き上げることができます。巻き上げたカーテンを木製固定部分にひっかければ完了。



8月半ば過ぎ、標高1500メートルの夕日はもうすっかり秋の色。その赤い光を柿渋の茶色がうけとめ、美しい木漏れ日模様を見せてくれました。厄介な注文をにもかかわらず、初めての作業に意欲的に取り組んで下さったお二人の作り手に感謝あるのみ。もう一工夫すれば、商品化できそうな気がします。 (横山祐子)


(C)Copyright 2001 Jomon-sha Inc, All rights reserved.

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