写真をクリックすると拡大します
side story #464
でお知らせした断捨離シリーズその6。
陶芸家黒田泰蔵さんが亡くなられてすでに4年が経ちました。新居を建てられる前の伊豆高原のアトリエに泰蔵さんをお訪ねしたのは、風爽やかな初夏の昼下り。成形された小ぶりの湯のみがずらりと板の上に並べられ、窯入れを待っているタイミングでした。お兄さまのグラフィックデザイナー黒田征太郎さんを通じて泰蔵さんをお訪ねする機会が生まれました。シャイで、人を寄せつけないようでいて、相手への関心も持ちつつこちらと接していらっしゃるといった雰囲気を漂わせた方でした。
そのお人柄の滲むような黒田さんの白磁に魅せられ、西麻布の『桃居』、六本木の『サボアヴィーヴル』などでの個展のたびに少しずつコレクションを増やしてゆきました。デミタスカップ&ソーサーをはじめ、皿やジャーなど、使えるものが中心でした。
白磁ブームともいうべき時期が訪れ、多くの陶芸家が最もシンプルで最も実力を問われる白磁に挑戦していました。寡黙でありながらも作り手の個性や実力がいやが上にも表れるのが白磁。泰蔵さんの白磁は、この白磁ブームを招いたかのような印象がありました。光を吸い込むまったりと優しい白磁で、よく見ると指でひねった微かな跡が残り、すっーと轆轤から指を離す最後の瞬間の息づかいさえ感じられます。
「、、、白磁に決めたのはその美しい抽象形態を一番損なわず、感情、感覚、考えまでが、気持ちの良い整理された言葉のように保たれると思ったからです」と黒田氏は自著『黒田泰蔵 白磁へ』(平凡社)の中で記されています。
陶芸の道に入った当座は民藝の島岡達三に師事したものの、カナダで制作に取り組むなか、試行錯誤をしているなか、浜田庄司所蔵の李朝白磁を目にしたことがきっかけで、白磁への道を歩むことになりました。長い時間をかけて白磁に辿り着き、ついには、白磁だけを追求する道を選ばれたのでした。
今回ご紹介するのはデミタスカップ&ソーサー。揺るぎない手技により一瞬にして轆轤から生まれる形、光沢のないマットな肌あい。唇の触れるカップのエッジはギザギザのまま残され、親しみ深いようでいて突き放されているような、、、アンビバレントな感情を伝える器です。
いくつか求めたものの、日常的に使うには繊細すぎて、もっぱら並べて眺めてばかりいたので未使用です。
販売数:
6客セット(セットでの販売を希望していますが、ご希望により一客からでも)
サイズ:
カップ: 直径60~70mm 高さ60mm
(それぞれ微妙なサイズの差があります)
ソーサー: 直径130mm 高さ16mm
*箱はありません
*中皿、ジャー、急須と湯呑みなどもあります。
お問い合せください。
ご購入にご興味のある方はお気軽に
shop@handmadejapan.com
までご連絡ください。
このシリーズ、どこまで続くかは不明ですが、ものとの出会いを記しながら、みなさまに使っていただけたらと願いつつ販売いたします。
シリーズその1 ベネチアングラスの皿
シリーズその2 クバ族の草ビロード
シリーズその3 石の中国茶器 その1
シリーズその4 石の中国茶器 その2
シリーズその5 型染めのクッション
シリーズその6 黒田泰蔵のデミタスカップ&ソーサー
(2025/7 よこやまゆうこ)
(C)Copyright 2004 Jomon-sha Inc, All rights reserved.
このホームページに掲載されている記事・写真・図表などの無断転載を禁じます。